2017年 02月 24日
190E 2.3-16V
Bさんが情熱を注ぐメルセデス・ベンツ190E2.3-16について
少しだけ勉強したので、解る範囲で簡単にご紹介します。
【メルセデス ベンツ W201/190E2.3-16V MT】
1983年秋、フランクフルト・ショーにてデビュー。
本国では翌84年に発売、日本への正規輸入は1986年から。
W201型と呼ばれる190Eをベースに、搭載されたエンジンは
2.3リッター・4気筒・DOHC16バルブ。
185ps/24.5kgm(日本仕様は175ps/22.9kgm)を発生する
このエンジン、開発したのは英国コスワース社。
油圧式自動車高調整機能の保証の下に低く固くセットされた
サスペンションと、強化されたブレーキ。
ゲトラーグ製5段ギア・ボックスは、1速が左手前となる
いわゆるヒューランド・パターン
205/55R15のタイヤを収めるための、後付けオーバー・フェンダー。
フル・エアロ・パーツ。
レカロ製のバケット・シート。
リアもセミ・バケットで、乗車定員は4名。
油温計/ストップ・ウォッチ/電圧計の3連メーター。
当時のお値段は、5MTで866万円・・・。
4ドアセダンであることを除けば、その成り立ちはBMW E30/M3に良く似ていると思います。
なお、1988年には排気量をアップして2.5-16へとモデル・チェンジ、200psへとパワー・アップしています。
これは後発のBMW M3に対するメルセデスの回答なのでしょう。
その後89年と90年には、グループA・ホモロゲーション・モデルである
2.5-16エボリューションⅠ及び翌年2.5-16エボリューションⅡをリリースしています。
今回ベースになる車両の2.3-16V MT車は、1986年日本へ輸入された初期の
ブルーブラックボディ・カラー5MTの新車並行車。
MTモデルというのは実は非常に数が少なく、希少価値のある個体ですね。
当時はスポーツ・モデルとはいえ、ニッポンのお客様はオートマがお好みのようで、
AT仕様の発売は本国よりも日本の方が先だったほどです。
更に2.5-16Vにモデルチェンジしてからは、MT仕様は正規輸入されなくり
その後実に21年間日本にメルセデスのMT車両は導入されない鎖国時代を迎えました。
この車をデザインしたのは、ブルーノ・サッコが手がけており、
四角いヘッドライトや横長で凹凸が付けられたテールライトを持ち
2.3-16Vではリアスポイラーを含む専用のエアロパーツが奢られた他、
車体側面の下半分にサッコ・プレートと通称される樹脂のプロテクターが装備され
他の仕様と差別化された。尚、車体形状は4ドアセダンのみであり、
他車種の様に2ドアクーペやステーションワゴンは最後まで設定されなかった。
メルセデスベンツのコーボレートカラーはシルバー、レースカーでは、
伝説のシルバーアロー「銀の矢」と言われ
現在でもレースカーはシルバーを基調として、
F1のセーフティーカーのSLSとC63AMGもシルバーですねー。
おいらのSLくんもブリリアントシルバーっす!!(笑)
さて、この車を当時乗った方のインプレッションが
某Blogに掲載されていたのでご紹介します。
このクルマ、とにかく操作感がゴツい。
ドアはまるで金庫のそれのようで、ものすごい重量感です。
たまにリア・シートに人を乗せるときなど、
あまり使っていないせいか、普通の感覚ではドアは固くて開けられません。
ステアリングはもちろんパワードですが、
そのアシスト量は必要最低限という感じ。
KP61時代から愛用している36Φのイタルボランテ「フォーメル」
に換えていたせいもあるとは思いますが、山道を走った後にはやや筋肉痛を感じます。
オルガン式のアクセル・ペダルはブレーキかと思うほどの重さですし、
クラッチ・ペダルもまた然り。
シフト操作だけは軽くて、温まればスコスコ入りますが、
パネル・スイッチ類などは突き指するかと思うほどの固さでした(←これは言いすぎか・・・)。
で、走り出して驚くのがその強烈な剛性感。
6年落ちであるにも関わらず、
とにかくボディのガッシリ感をハッキリと体感できるほどの凄さ。
それはもう、感動的ですらありました。
数値上はどうだか知りませんが、その後に新車のE36/M3に乗り換えたときに、
「ボディ剛性は2.3-16の方が上だな」と感じたほどです。
ではその代償として、やはり重いのか?
・・・2.3-16/MT/日本仕様の車輌重量は、カタログ値で1,230kg。
ライバルたるE30/M3より、50kgほど軽いのです。
これはちょっと意外でした。
重いアクセル・ペダルを踏んづけると、
コスワース・チューンの1023型DOHCエンジンは、「グワアアアアアンッ」と言う
ものすごい咆哮とともに一気呵成に叩きあがります。
特に3,000回転を超えてからのパワー感と音はすさまじく、
初めて走らせたときにはビビって思わずアクセルを緩めてしまいました(汗)。
この回転域ではアクセル・レスポンスも目覚ましく、
その過敏さを中和させるために敢えてアクセル・ペダルのストロークを
重くしているのではないか、と疑ったほどです。
5速直結のゲトラーグ社製マニュアル・トランスミッションは、
先に述べた通り1速が左手前のヒューランド・パターン。
最初はなぜこんなワケのわからないパターンなんだ?
と思いましたが、山道を走らせて合点が行きました。
2速⇔3速が一直線なんですね。
ダイレクト感のあるシフト・フィーリングと相まって、
タイト・コーナー連発の山道などはギア・チェンジが非常に楽しいのです。
どうせ1速は発進時にしか使わないワケですから、
ある意味合理的なのかもしれません。
ステアリングはかなりクイックでした。
ノーズは面白いように向きを変え、
凶悪なほど固いサスペンションとの相乗効果でまるでカートのような操舵感です。
補修跡のあるコーナーではリアがやや跳ねる感じではありましたが、
総じて接地感は高かったように思います。
巌のような剛性を持つボディのおかげで、
サスペンションの仕事を全て路面に向けることができている、
そんな印象を受けました。
そして、ブレーキ。
もう、ビックリするほど効きます。
制動力はペダルの踏力に比例して立ち上がり、
非常に自然なフィーリングです。
巨大なオッサンの手で、後ろからクルマごとグーッと掴まれる、
という感じでしょうか(←どんな感じだよ・・・)。
・・・と、いいところばかり書きましたが、
もちろんそれだけではありません。
上述の通りサスペンションの固さはハンパではなく、
「ベンツだベンツだ」と言っていた同乗者は例外なく黙り込んでしまいます。
現代の車のように、ハンドリングと乗り心地を両立させるなどと言う
コンセプトは一切感じられませんでした。
さらに私の2.3-16は個体としての程度も良くはなく、
この時代のメルセデスではお約束のエアコン・トラブルに見舞われたりしています。
またこちらもお約束のバルブ・ステム・シール劣化による
オイル下がりも私の2.3-16の持病で、トランクにはいつも
エンジン・オイルを積んで走っていました。
シーリング剤の投入でテール・パイプから白煙を噴くことはなくなったものの、
それでも約1,000kmでオイル1Lを消費していました。
他にも積算距離計が止まったり、
渋滞の中でアクセル・ワイヤーが切れたこともありました。
しかしながら2.3-16のドライビングは、
そんなトラブルによる心と財布の凹みを帳消しにして
なお余りあるほど楽しいものでした。
独りで数日間クルマの旅に出る、
自称グランド・ツーリングを始めたのもこのクルマからですし、
自分のクルマで北海道を走ったのも2.3-16が最初でした。
積算距離計が止まってしまったので、
自分が走らせた距離はよくわかりませんが、
とにかくあちこちよく走ったことを憶えています。
メルセデス・ベンツ190E2.3-16は、
もう何もかもがエキサイティングでスパルタンなクルマでした。
同乗者への配慮を全く無視して作ったとしか
思えないこのクルマと較べれば、E36/M3も現在乗ってるB3も、
極めて普通のセダンだと思います。
クルマに対する私の既成概念を根本からブチ壊してくれた、
本当に素晴らしいスポーツ・リムジンでした。
メルセデスはもうこの手のクルマを作ることはないでしょうから、
2.3-16を走らせていた3年間は本当に貴重でラッキーな
時間だったのだな、と感じています。
どうでしょう!?
乗ってみたくなりましたかー!?
運を掴んでみてくださいませ!!
本日もお疲れ様でした!!!